理事長挨拶
前川財団は、「日本型共同体の再建を図り、そこで育まれた優秀な人材を世の中に輩出していくことをもって、永続的な日本の発展に寄与し続けることを目的」として、2014年4月1日に一般財団法人として設立され、2015年1月16日に公益財団法人に移行いたしました。前川財団は、設立以来、上記に掲げる目的を達成するため、とりわけ幼少年期の教育である子育てが重要であるとの認識に立ち、定款に掲げる家庭・地域社会の教育に関する研究や実践活動への支援等の事業を継続的に行っております。
核家族化が進む一方で、女性の社会進出に伴う共働き家庭の増加等により、親だけに頼る子育ては既に限界に達しています。そして、このことが少子化に歯止めがかからない一つの要因であると考えられているところです。
人類の歴史を繙くと、実は親だけでこどもを育ててきた歴史はただの一度もなく、日本で「子育ては親の責任だ」という考え方が生まれたのはここ50~60年の間のことに過ぎません。むしろ歴史的には、子育ては「共同養育」すなわち地域社会ないし共同体が寄ってたかって子育てに関与してきたのが実相なのです。このことは、前川財団が支援をさせて頂いた研究の成果をはじめさまざまな研究結果により明らかな事実として見出されているところです。折しも、我が国で2023年4月1日にこども家庭庁が発足し、それと同時に、こども基本法が施行されました。これはまさに、こどもの健全な成長のためには、家庭だけではなく国や社会全体が取り組まねばならない喫緊の課題であることを、改めて認識させるものといえます。
未来を担っていくこどもたちを育てる教育は、明るい未来の礎を作る仕事です。前川財団は、この掛け替えのない仕事に対して支援を継続して参る所存ですので、引き続き、ご指導・ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
公益財団法人 前川財団
理事長 松本 伸也